笙(しょう)は、笛子(ディーズ)や唢呐(スオナ)に並ぶ中国の代表的な管楽器の一つ。
かつて宮廷楽器として親しまれた笙は長い歴史の中で改良を重ね、現在では3オクターブの音域を持つ楽器となっています。
日本の笙より大型で長い吹口と共鳴管がついていて、様々な技巧を用い快活で迫力ある音色を奏でます。
中国民族楽器オーケストラやアンサンブルでは、笙が和音を用いた伴奏で背景を作り、
個性的な民族楽器の音色をまとめる役割をします。
もちろん旋律も担当しますので、合奏において笙は役割に合った発音の仕方や音量などの使い分けが求められます。
【伝統笙と現代笙(加鍵笙)】
★手のひらに乗せて演奏する小型の笙があります。こちらは ”伝統笙" と呼ばれます。
独奏曲においては楽器の特性を存分に活かしたパワフルで中国らしい華やかな演奏を得意とします。
見た目、日本の笙に少し近いですが、短い吹き口がついています。
伝統笙は舌の技巧が音に現れやすく、現代笙よりやや肺活量が必要で音がパワフルです。
管の並びはドレミ…と規則的に並んでおらず、中国の伝統和音(下4度、上5度の和音)が押さえやすい配置となっています。
現在、21管、24管、26管、37管などの伝統笙が開発され、使用されています。
★一方、腿の上に置き長い吹き口を使って演奏するのが “現代笙” または “加鍵笙” と呼ばれる笙です。
音の配置は規則的で36管または38管あり、約3オクターブをカバーします。
民楽オーケストラでは高音笙・中音笙・低音笙と音域の違う笙が用いられ、低音になるほどサイズが大きくなります。
(他に「台笙」や「抱笙」と呼ばれる笙もあります。)
伝統笙の音の並びは実は中国の地域によって様々ありまして、統一されていません。
中国笙学会でも話し合ったらしいですが、結局統一には至らなかったそうです。
(学習者は師匠や学校が使う笙を学ぶカタチになるので、他の配列の笙は演奏出来ないという^^;)
加鍵笙の配列はどの地域でも同じなので、どの工場や楽器店で入手しても大丈夫です。
(但し、中音笙は5度低い並びだったりする・・・)
伝統笙は独奏曲が得意、現代笙は音域が広く伴奏も自在なのでアンサンブルや楽団向き・・・といった印象ですね。どちらも同じ「笙」ですが、指使いや奏法、音の出方が違うので、全く別の楽器を扱う感覚です。
ちなみに楽譜ですが、私は伝統笙は数字譜で、加鍵笙は五線譜を使って演奏しています。
中国の教材も最近は五線譜表記のものが増えましたが、伝統笙に関しては今も数字譜使用がほとんどです。
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演奏会やライブでは、こうした楽器の特徴や歴史などについてのお話も交えながら、
理解を深めつつ音楽を楽しめるプログラムでお届けしております。
西洋の楽器とはまた違った味わいのある中国楽器の音色。
日本でも多くの方に親しんで頂けますよう、日々楽器と向き合っております!
by Shengfuki (2022.8更新)